そばにいたこと
そんなこと、許されるはずなかったのに。


僕と彼女が共に過ごした一週間が、僕には忘れられない。


どんなに後悔しても戻らない。


この一週間が、君の運命を変えてしまうことになるなんて。



そのことが分かっていたら、僕はどんなに愛していても、君をさらいはしなかった。




車椅子に乗った君を一人にして、車のエンジンをかけていたお父さん。

あの時、もっと早く気付いて、僕の行いを止めてくれれば。

そうすれば、僕だって――――





震える手で君の車椅子を押した。

目の見えない君は、小さく叫んでいたね。

僕は、僕だけの為に君をこんなにも怖がらせてしまった。




「大丈夫。僕だ。」




耳元で囁くと、君はびくっと体を強張らせた。




「は、るおか、くん、」




「行かせない。君を遠くへなんか、絶対に行かせない!」




僕のその言葉に、君は何の反応も示さなかった。

僕はまだ知らなかったんだ。

君がどんな覚悟で手術を受けたかなんて。




そして、その覚悟を僕が、簡単に打ち砕いてしまったなんて―――――
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