そばにいたこと
君を忘れようともがいていたこの数年間に、君は自ら命を絶った。

手術を受けて、せっかく手に入れた命を、自分の手で。



僕は、君を忘れようとしてはいけなかったのに。


苦しみを、一生背負っていかなければいけなかったのに。




僕は君を捨てたわけではなかった。

どんなに忘れようとしても、忘れた日は一日たりともなかった。




だけど今となっては、その気持ちは伝わらない。




見えない夕焼けを見えると言った、僕の小さな過ちが―――――




君を死に追いやったんだ。



僕の自分勝手な行動が、君を殺した。




ああ、どうして僕を誰も止めてくれなかったのだろう。

車椅子を押して走る僕たちに、君のお父さんは追いつけないはずはなかっただろうに―――





僕は、この時ほど後悔したことはない。


この時ほど自分を責めたことはない。




飲まず食わずで、ぼうっとしながら、ずっと君のことを考えていた。


あの頃の僕は、完全に精神がいかれてしまっていた。


呪文のように謝り続けたかと思うと、次の瞬間にはふっと黙り込んで。


そして、急に大声で泣き出したりした。




思えばこの数年間、僕を支えていたのは君だったんだ。



君に会えなくても、この世界のどこかできっと。



君は幸せに暮らしていると。



そう思うことで、僕は自分の罪悪感を相殺していた。





そんなの嘘だって、心のどこかで思いながら。


君は、沙耶はそんなに強くないと、分かっていたくせに―――――
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