【BL】生まれ変わって会いましょう。
対してもう一人は不機嫌そうに言った。
女性の艶めかしい黒髪に対して、彼の髪は漆黒。
深い深い闇のようだった。
怪訝に向ける真っ赤な瞳は、鋭さを持っていて、まるで獣のようだ。
ゴンッと音がして、男は頭を抱え、踞った。
「〜〜ッ………何すんだ!」
「ふん、愛でる心がないやつには仕置きじゃ。」
「何が愛でる心、だ。暴力女め……」
「何か言ったか?」
「…………別に。」
男は不貞腐れたようにそっぽを向いた。
女性は呆れたように息を吐くと、男の隣に腰を下ろし、花を摘んだ。
「これはな、白詰草という花だ。」
「……シロツメクサ」
女性は摘んだ花を織っていく。
男は熱心にその手元を見ていた。
「……何しているんだ?」
「見て分からぬか?」
「……分からないから聞いている。」
女性は、ふふっと笑んだ。
「お前はそうやって、もっと周囲に興味を持つことだ。」
「……意味が分からない。」
「よいよい、そのうち分かる。ほら、出来たぞ。」
女性は手にしていた花の輪を男の頭に乗せた。
「……何だ、これは?」
「冠じゃ。良く似合っておるぞ。」
女性は楽しそうに笑い、男は少し不服そうだった。
「冠なら、」
男は頭上の冠を手に取り、女性の頭に優しく乗せた。
「お前の方が良く似合う。」
それは声音と同じぐらい、柔らかく優しい笑みだった。