【BL】生まれ変わって会いましょう。
その男の笑みには、すごく見覚えがあった。
「ーー紀、」
ああ、そうだ。この感じ。
つい最近も覚えがある。
「ーーーーろ、佐紀」
俺はずっと昔から、知っていた。
あの、
「ーーー起きろ、佐紀。」
ーー優しい笑みを。
「いい加減起きろ。」
ぼやける視界に映る顔を両手で包み込む。
「ーー俺はずっと前から知っていたはずなんだ。」
「…………え?」
「…………え?あれ、俺今なんて言った?」
何か自然と口が動いたような………。
「…………寝惚けてないで、さっさと支度しろ。食堂閉まるぞ。」
呆れたように言われて時計を見れば、20時30分。
確か食堂は21時までだったはずだ。
「うわっ!?ギリギリじゃん!どうしてもう少し早く起こしてくれないんだよ!」
「……起きないお前が悪い。」
とりあえずパーカーを羽織って、部屋を出ていく要樹の背中を追いかけた。
「食堂楽しみだなぁ。今日は何だろ?」
ウキウキする俺とは対称的に要樹は興味無さそう。
何か乏しいよな、感情が。
「…………さっき、」
「へ?」
突然の問い掛けに間抜けな返答をしてしまう。
い、いっつも唐突なんだよ。