【BL】生まれ変わって会いましょう。
もうすぐ閉まる時間だというのに、食堂は賑わっていた。
俺達が入るまではーー。
俺達が食堂に入ると賑わいが、ざわつきに変わった。
視線は俺達に向けられている。
なんだろ?何かしたかな?
「………だから言ったんだ。」
俺の後ろで要樹は短い溜め息をついた。
「ーーーあれ壬生だろ?」
「ああ、こんなところに来るなんて珍しいな。」
入口近くに座っていた人達の会話から、注目の的は要樹であることが分かった。
「要樹って有名人なの?」
本人に訊ねれば、
「………知らねーよ。」
と嫌そうな表情と返答が返ってきた。
要樹は気にすることなく、トレーを手にして夕食を受け取り、空いてる席へと腰かけた。
俺もそれに習い、トレーを手にして、向かいの席に腰かける。
「いただきます。」
と食事を開始したものの………
みんなの視線はこちらに向けられたまま。
何か食べづらい……。
「壬生といるのって転校生だろ?」
「確か同室なんだよな?」
どうやら話題は俺の話になってきつつあるようだ。
「な、なぁ……要樹って有名人なの?」
気まずくて再度同じ質問。
「……知らねーよ。」
そして同じ返答。
要樹は慣れているのか、全く動じず綺麗な箸使いでご飯を口に運んでいく。
「……だから言っただろ?後悔するって」
「うー……要樹のバカ。説明不足すぎなんだよ。」
ぶつぶつ文句を言う俺に、早く食えとだけ要樹は返した。
確かに早く食べて退散した方がよさそうだ。
口より手、そう決めて俺はひたすら手を動かした。