最強鬼龍~3兄弟のお姫様~
「やっぱり、すぐに聞かせてくれない?」


陸真さんの声が頭上で聞こえるる。


もし……。


もし陸真さんの気持ちに応えれば、こんなふうに陸真さん以外のすべてが見えなくなるんだろうか。


たとえ近くに海都がいたとしても何も気にならないくらい、夢中になれるんだろうか。


あたしはそっと陸真さんの背中に自分の腕を回した。


この人が愛してくれれば、あたしの傷はいえるんだろうか……。


背中に回した腕に力をこめようとした瞬間、バンッとドアが開く音がしてあたしと陸真さんは咄嗟に身を離した。


ドアのところに空李君が仁王立ちをしてこちらを見つめている。


「く……空李君、どうしたの?」


焦りながらそう聞くと、空李君はなにも言わずにズカズカと大股にこちらへ歩いてきて、あたしと陸真さんの間に割って入った。

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