最強鬼龍~3兄弟のお姫様~
海都はあたしが手に持っている数学の教科書とノートに視線を移してそう言った。


「あ、えっとね……」


突然出てきた海都にあたしはしどろもどろになってしまう。


心の準備ができてなくて、思うように言葉にならない。


「なんだよ、お前勉強みてほしいのか?」


「え? ちがっ……」


「別にみてやってもいいけど」


『違う』と否定するあたしの言葉をさえぎって海都が言った。


「え……?」


驚いてついつい口をポカンと開けてしまうあたし。


「なんだよ、違うのか?」


「えっと……ち、違わない」


あたしは消え入りそうな声でそう返事をした。
< 423 / 488 >

この作品をシェア

pagetop