最強鬼龍~3兄弟のお姫様~
あたしはキョトンとして聞き返す。


「そう。あれのことも覚えてねぇの?」


「えっと……」


あたしはオロオロと視線を泳がせる。


あの時計は確かあたしにとって大切なものだった。


でも、それと海都との記憶が結びつかない。


すると海都はあたしの目の前にしゃがみ込み、何も持っていない両手を差し出した。


「これやるよ。この時計、俺の一番のお気に入りなんだ。だからもう、寂しがるなよ?」


海都のセリフにあたしは「あっ!!」と、声をあげた。


修学旅行の時に時計を見て懐かしさを感じた。


その事と、今のセリフが一致する。
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