嫌魔
あの後からずっとな、おれはあの町の周辺に毎日通ってるんだ。
何でかって?
利美を助けるために決まってるだろう。
あの町に近づいて、嫌魔の嫌悪感に耐えながら、町に入ろうとしてるんだ。歯を食いしばって、全身に力をこめて、町を囲む金網を乗り越えて、全速力で走って町に突入してるんだ。勢いでなんとかならないかと思ってね。
でも、全然だめだ。
すぐにゲロ吐いて気絶してしまう。
それで目覚めたら、また体が勝手に動いて、町から逃げ出してしまう。
毎日、それをくりかえした。
もう、ぼろぼろよ。凄まじく嫌なものに、毎日触れに行くわけだからな。何度も何度も腹に激痛が走って悲鳴をあげた。転げまわった。おかげでほら、おれってすげえやせてるだろ?顔も結構青白くなってるんじゃないかと思う。この年で、髪もほとんど白くなってるしな。
でも、あきらめねえ。