今日、君が結婚します
放課後も残って図書室で受験勉強をしていた。



秋が去り、寒い冬が来てもそれは変わらない。



12月を迎えた今はお気に入りの千鳥格子のマフラーを巻いて放課後図書室に行くのが私の日課。



今日は珍しく誰もいない。



鍵を職員室に借りに行き、図書室を開け指定席に着く。カバンから赤本とノートを取り出した。



私はどうしても数学が苦手でそれを克服するために高校の赤本をずっと繰り返しやっているけれどもどうしても同じところでミスを犯してしまう。



何度も何度も。こんな問題で足踏みしている場合じゃないのに自分の不甲斐なさにイライラする。



「毎日、頑張ってるね。お疲れ」



目の前に座るのは寛子。寛子は図書室より塾でみっちりタイプで放課後はなかなか会うことがないのに今日は珍しいな。
< 80 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop