彼が虚勢をはる理由

よん。






熱が早々と下がってくれたので、、私は翌日には学校に行く事が出来た。
寝坊する事も無く、学校指定のジャージを忘れ物する事無く、電車が遅延する事も無く、時間に余裕を持って教室に到着する。


「おはよ……」

「っざけんなー!」


教室に入った瞬間、見慣れた金髪の、見慣れない姿が視界に飛び込んできた。
私はこの時、暴力沙汰で何かと話題になる夏野君が、実際に人に手を出しているのを、初めて見た。
…と言うか、夏野君が遅刻もせずに既に教室に居るって事が、そもそもレアそのものかもしれない…!

私はそっと自分の席に移動してから、改めて周りの様子を確認してみた。
夏野君が突っかかっている相手は、夏野君とはあまり仲が良くないようで、よく陰でコソコソ夏野君の悪口を言っている人だった。少し前に、私もその事で怒ってしまった事があったと思う。
こういう事があると状況を説明してくれるハルと舞子は、今日はまだ来てないようだった。

…夏野君が何で怒ってるかが分かんないから、迂闊に止める事は出来ないし、けどよく確認すると、夏野君達は私のロッカーの前で言い争っているので、邪魔である事極まりない。
私は“自分のロッカーに学校指定のジャージを放り込む”という理由で、二人の言い争いを止める事にした。





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