彼が虚勢をはる理由
ハルが不思議そうに首を傾げてくるけど、それはこっちの台詞だ。
私に関する何らかの事で争っていたのは分かるけど、それでも私は巻き込まれたんだから。
しかも休み明けの朝、登校してきて一番最初に見たのがコレだ。事情を分かれという方が無理な気もする。
「“は?”じゃないよ、ハルこそ何か知らないの? 昨日のメールで、“夏野君の様子が何かおかしい”とか、何とか言ってたじゃん」
するとハルは、首を傾げて、言いにくそうに言葉を濁した。
「それは……、ちょっと違うと思うよ。少なくとも昨日は、誰かと言い争っていたとか、そういう事は無かった」
「は? じゃあ、昨日の夏野君は、どうおかしかったって言うの? そんで夏野君は、何で朝から言い争いしてる訳?」
「それは、コッチが知りたいよ! 昨日の夏野はね、とにかくボケーッとしていて、ひたすら香苗の席ばっか見てたの!!」
はぁ!? 何だそれ!! それじゃ、普段と少ししか変わんないじゃない!!
確かに夏野君は、いつも声かけられても一回目はシカトしてるから、ただでさえボーッとしてるように見られやすい。
最近はシカトの回数が増えてるから、それに拍車がかかってる。
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