彼が虚勢をはる理由
私はめげずに、もう一度投げてみる事にした。
今度は、“シカト!? それとも、後で説明してくれる?”と書いて、またクシャクシャと丸めて、夏野君の背中目がけて投げる。
メモは見事に夏野君の背中に衝突した。足下に転がったメモを、夏野君は拾い上げて確認してくれたけど。
……今度はこちらを振り返らず、夏野君は確認してくれもしなかった。
完全にシカトされた…。
腹立たしい気持ちと同時に、何だか寂しい気分になってくる。
完全に夏野君に嫌われたかもしれないなぁ…。
とりあえず、授業中に夏野君にアピールするのは、やめる事にした。
授業中だからシカトしてきてるだけで、休み時間とかに声かけてみたら、意外と普通に反応してくれるかもしれないしなぁ。
……そこまで考えてから、最近はずっと夏野君の反応は乏しくなっていて、特に私はほぼシカトされている状態が続いていた事を思い出した。
単純にシカトが続いてる状態は寂しいし、特に私は夏野君が好きなわけだから、もはや寂しさを通り越して、何だか悲しくなってくる。
好きな人に存在を認められなかったりとか、その想いの存在を否定されたりする事は、何て寂しくて悲しい事なんだろう。
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