彼が虚勢をはる理由
…私は一つ、優美の口調に疑問を覚えた。
きっと、夏野君とある程度は仲良くしてなかったら、優美の口調はこんな好意的な物にならない。
――中学時代、夏野君と優美は、仲が良かった?
「夏野君って、中学時代もあんな性格だったの?」
「は? あんな性格って?」
優美は、私の言ってる事に首をかしげる。
「だから、あの……。自己紹介もロクにしないで、毎日のように遅刻してきて、クラスの子と殆ど喋らないで、反応が天然だった?」
「何それ? 確かに中学の頃も反応は天然っぽかったけど、遅刻はしなかったし、普通に明るく喋ってたよ。今の夏野君、そんな事してるの?」
根暗になったモンだねー、と呟く優美。
当時は、今と違う性格だったの? 何で今と違うの?
……ってか、天然な反応は、当時から変わってないのか。
「香苗、夏野君の性格を勘違いしてるよ。少なくとも、昔はもっと良いヤツだったよ」
「そうなの?」
「そうだった。香苗、もうちょっとちゃんと見てみ?」
ちゃんと見てみって言われても、誰かが夏野君に話しかけても、夏野君は殆どシカトしてるみたいだしなぁ…。
いったい何を見れば良いの?…って話で。
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