彼が虚勢をはる理由
――――正直に言うと、私はこの手のガールズトークが苦手だ。
誰が誰を好きであろうと、自由だし、勝手だし。
恋する乙女の一喜一憂を聞いてると、思わずコントばりに突っ込みたくなる。
しかも、こういう話を自分から話すのも、本当に苦手である。
……何でこんな、照れくさくて照れくさくて、顔から火を噴いちゃいそうになるような話を、他人に垂れ流さなきゃならんの!
皆、楽しそうにニコニコ、いやもうキャッキャウフフなテンションで喋ってたりするけど、そんなの無理だし、絶対に無理だし! 無理な物は無理!!
「もう、マジ無理! ハルも香苗も、私が恋バナとか苦手なの、知ってるでしょ」
「香苗は自分が話すのが駄目なだけじゃなくて、人の恋バナを聞くのも苦手だもんね~」
「よく突っ込みたくて、手がプルプル震えてるもんね。その我慢してる感じも、何だか笑えてくるけど」
…しかも、突っ込みたくて我慢してるの、舞子にバレてるし。
「……とか言っちゃって、本当は、夏野君が戻ってくるの、待ちたいんでしょ?」
「え、マジ!? 香苗、大胆だね!」
「いやいやいやいや! そんな事無いってば!!」
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