彼が虚勢をはる理由
「…香苗が恋バナに思わず突っ込んじゃうのは、恋バナを聞いてるだけでも、香苗は何だか照れくさくなっちゃうからでしょ?」
「え、どうしてそれを…?」
舞子は唇に人差し指を当てて微笑み、そのまま帰っていった。
ハルといい、舞子といい、何処まで私の秘密を知ってるんだ…。もはや恐怖すら感じる。
これ、人に殆ど話した事が無い、私のトップシークレットなんだけどな。
ってか、ヒソヒソと耳元で内緒話をされるのも、照れくさくなるから、出来ればやめて欲しいんだけどな……。
話してる人の息が耳にあたるから、何だかくすぐったくて、どうしようもなく照れくさくなってしまうんだ。
私はとにかく照れくさくて照れくさくて仕方無い気持ちのまま、頑張って教室の掃除を終わらせる事に成功した。
こんなに照れくさいんじゃ、夏野君と直接顔を合わせて話をするなんて、到底無理な気すらしてきたよ……。
夏野君が教室に戻ってきた時、もう皆が帰っちゃってて、誰もいないと良いな…。
誰かに聞かれてるとか、いくら何でも恥ずかしすぎる。
でも、それだけ遅くまで待っているのも、正直面倒くさいかもしれない。ってか、眠い。
私は夏野君が戻ってくるまで、少し仮眠をとる事にした。
そもそも寝不足になっちゃってるのも、夏野君のコトを考えてたら、何だか眠れなくなっちゃったからだ。
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