彼が虚勢をはる理由





「…正確には、風見は危うく殴られそうになった所を、俺がすんでで間に合ったらしい。ただ、相手が逆恨みしたようで、誰かにチクったみたい」

「何ソレ。逆恨みなんて、ダサすぎるでしょ」

「さぁ? まぁ、三年なら内申点とかも気になったんだろ」


夏野君は呑気に首を傾げてるけど、こっちはそれどころじゃない。
優美は怪我しそうになったんだし、夏野君は悪くないのに呼び出されて、説教まで食らったようだから。


「それ、優美は大丈夫なの?」

「大丈夫だろ。学校には来てるようだし。まぁ、何かあったら、星崎が話を聞いてやれよ」


その言葉から、軽く話す夏野君が、本当は優美を気にしてるのが分かった。
…うん、それでこそ、私の知ってる、乱暴そうに見えて、本当は優しい夏野君だ。
だから本当は、私が理解出来てないだけで、本当は夏野君が暴力を奮うのには、きっと理由があるんだよね?


「……あとさ、アレは聞かないの?」

「アレって?」


夏野君に聞きたい事は、もう全部聞いたと思うんだけど。
夏野君だって答えてくれたし。


「俺が暴力を奮ってる、本当の理由。…俺、こう見えても、中学までは暴力とか殆どしなかったんだ」

「……何でソレ、知ってるの?」

「星崎と日野が話してるの、聞こえた」





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