彼が虚勢をはる理由
私とハルが話してたのは、私が本当は"暴力反対派で、暴力を奮う人が嫌い"という事。
てっきり夏野君がいない時ばっか喋ってたと思ってたけど、夏野君は聞いてたんだ――。
「…ソレ、私が聞いちゃっても良いの?」
「まぁな。あんま人に話す話でもないと思うけど、星崎なら否定もせずに、ちゃんと聞いてくれそうな気がするから。……どっちにしろ、風見とかから話が漏れるのは、時間の問題だと思うし」
ククッと笑いながら喋る夏野君。金髪がサラサラと揺れる。
優美は、夏野君が暴力を奮う本当の理由、知ってるって事かな?
――――しかし、"私なら否定もせずに、ちゃんと聞いてくれる"か……。
夏野君の中じゃ、私はどれだけ善人に見られているんだろう?
私、けっこう口うるさいタイプなんだけどな。
「……じゃあ、聞かせてもらっても良い?」
「あいよー。……俺さ、さっきも言ったけど、中学の頃は、あんま暴力とかやんなかったわけ。今の俺を見てたら、星崎は信じられないかもしれないけど」
まるで遠くを見るように話してたにも関わらず、急に視線を合わせてくる夏野君。
……何よ。夏野君がイケメンだから、無駄にドキッとしちゃうじゃん。
.