彼が虚勢をはる理由
「あ・り・え・な~い!!」
体育の時間の前に、先生を待ってる間、ハルが思いっきり吠えた。
ウチの学校の体育は、男女で分かれてるんだけど、2クラス合同なんだよね。
私はハルと舞子と一緒に、体育館の壁にもたれかかりながら、グダグダと喋っていた。
ハルが吠えたくなる理由も、よく分かる。
だって、あの転校生・夏野君は、本当に変なんだもん!
転校生が来た時って、普通は、休み時間とかにクラスメートが集まってきて、転校生を質問攻めしてるイメージなんだけど。
自己紹介があんなだったから、誰も近寄ってきてなくて、皆が夏野君を遠くから指差してヒソヒソやってた。
ものの見事に、ドーナツ現象ってヤツが起きてたと思う。
何て言うの? 愛想が無い感じかな?
イケメンなのに、勿体無い。
しかも、これは私の勝手な好みだけど、今のクラスに渦巻いている、陰口だらけみたいな空気、好きじゃない。
…まぁ、そんな空気なんて、好きな人はいないと思うけど。
そんな空気を巻き起こしたのも、ハルがあまりの態度の悪さにキレてるのも、どれもこれもあの転校生の所為!
担任だって困ってたし。
イケメンだからこそ、本当に勿体無い。
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