彼が虚勢をはる理由





「いや、信じるよ」

「そう? サンキュな。……それで、高校進学と同時に、俺は親父の仕事の都合で、関西に引っ越したんだけどさ、そこの学校で、一人の大事な友達ができたわけ」


確かに、本来の夏野君の性格なら、何処に行っても素敵な友達はすぐにできるだろうな。


「ソイツ、超良いヤツだったんだよ、マジで。とにかく優しいし、何かに対する偏見とかも無いし、正義感も強いし、頭も良くて成績優秀だったし。おまけにイケメンだったわ。マジで神が色々と与えすぎてるヤツだったよ」


……いや、夏野君も充分イケメンだと思うけどね。
照れくさいから、絶対に言わないけど。


「…ただな、優しすぎたんだよ。成績も良かったから、そこを妬んでる連中に付け込まれた。そのうちソイツは、毎日のように呼び出しを食らってるような連中に、毎日連行されるようになった」


夏野君のその友達は、恐らくその人達に苛められてたんだろう。
そしてその事を、夏野君は今でも後悔している。
――――嫌な予感がする。これ以上、この話の続きを聞くのは怖い。
けど、せっかく夏野君が話してくれてるんだし、聞き逃すわけにはいかない。





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