彼が虚勢をはる理由

ろく。






「はぁっ…、はぁっ…。間に合ったー!!」


夏野君の"理由"をまた一つ知った、その翌日。
私なりに、誰かを真剣に庇う事について、その為に暴力を奮う事について考えていたら、結局また眠れる事は無く、当たり前のように寝坊して遅刻寸前で学校に着いた。
隣りの席を見ると、やっぱりまだ夏野君は来ていない。そのまま本鈴が鳴り、夏野君は今日も遅刻決定だ。


――無い脳を絞って考えてはみたものの、やっぱり私には、暴力を奮う事は肯定出来そうにもない。
だって話し合いで解決出来るかもしれないし、もっと方法を選べば、まだまだシンプルにトラブルを解決出来るかもしれないし。
話し合いは大事。人間の有史は、話し合い無しでは進んでこなかった。

……ただ、大事な友達を庇いたいっていうのは、凄くよく分かった。
無い事を願いたいけど、私だってハルや舞子が苛められてたらどうにかしたいし、そうじゃなくても困り事の相談には日常的にのっている。
周りに困ってる誰かがいれば、何とかしたいって思っちゃうのは、普通なんじゃないかと思う。夏野君は、選んだ手段がアレだっただけで。


「香苗、おはよー!!」


そんな考え事をしてたら、ホームルームはいつの間にかに終わって、私はハルと舞子に声をかけられた。






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