彼が虚勢をはる理由





紅実ちゃんはコップを二つ出し、冷蔵庫から出した麦茶を注ぎ分けた。麦茶を片付けるついでに、冷凍庫からアイスクリームを取り出す。


「はい、香苗」

「ありがとう」


私は渡されたチョコレートのアイスの封を開ける。
ちなみに、私がお土産として持ち込んだ和菓子は生物だった事もあり、饅頭が大好きな御祖父ちゃんと御祖母ちゃん、葛餅が大好きな紅実ちゃんによって、あっけなく消えてしまっていた。


「…しかし香苗、あの英語の成績で、よく今の高校に入学出来たね~」

「うるさいなぁ。他の教科の点数で取り返したんですぅ~」


紅実ちゃんに苦笑いされる私。
高校受験の為に勉強してた頃を思い出す。当時から英語の成績が最低だった私は、早々と英語を諦め、他の国語や社会に力を入れて勉強していた。


「ところで香苗、最近はどんな感じ?」

「相変わらず、英語が最低」


多少不機嫌なまま、私がそう返事すると、紅実ちゃんに笑われた。
私は真面目に返事したんだけど…。


「それは見れば分かるよ。そうじゃなくて、学校とかさ。彼氏とかできた?」


紅実ちゃんはチョコミントのアイスをすくいながら、私にそんな質問をしてきた。
紅実ちゃん、私が恋バナとかが苦手なの、知ってるだろうに…。





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