彼が虚勢をはる理由
「うーん……。イケメンの部類に入ると思う。可愛い系イケメンじゃなくて、格好良い系イケメンの。髪が透き通るような綺麗な金髪で、右耳にだけ同じ形のピアスがズラッと並んでるの。で、腕には腕時計すらしてないんだ」
「そうかぁ、そうですかぁ~」
ウフフ、と楽しそうに笑っている紅実ちゃん。…あぁ、こういう風な反応をされるから、何だか照れくさくてたまらないんだ。
何だ? この、微妙な空気感は。嫌なんだけど。
「そうか…。あ」
何かを思いついたように、紅実ちゃんは拳で掌でポンと叩いた。
「十六日に、近くの神社で夏祭りがあるんだけど、香苗も一緒に行こうよ」
「…急に何?」
近所の夏祭りなら、私も知ってる。小さい頃に一回だけ行った事があったっけ。
けど、それが今までの、照れくさすぎる恋バナと、何の関係があるっていうの? 人には散々、恥ずかしい話をさせといて。
「良いから、良いから。久々に一緒に行こうよ。祖父ちゃん達には話しとくから」
ウフフ、と楽しそうに話す紅実ちゃん。…何なんだ。
私は結局、半ば強制的に、夏祭りに連行される事になった。
……ハルや舞子と一緒に行くわけじゃないし、ましてや夏野君とも一緒じゃないし、あまり詳しくない地域の夏祭りが楽しくなるとは思えないんだけど。
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