彼が虚勢をはる理由





「まぁ、覚えてろっていうのが、無理な話だよね。…そんな事より、今日は遊ぶよ!」


そう気合を入れる紅実ちゃんと一緒に、私は縁日の色々な屋台を回る。
タコ焼き、綿飴、射的、リンゴ飴、クレープ……。
屋台が並ぶ参道は結構な距離があるから、意外と歩いてるんだけど、それでもこんなに食べてると何だか太っちゃいそう。


「よし、今度はラーメンバーガーだよ!!」

「紅実ちゃん、まだ食べるの!? 太っちゃうよ~」


そんな心配をする私を、紅実ちゃんはチラリと見る。


「大丈夫だよ、香苗。香苗はそんなに可愛いんだから」

「そんな事無いよ! 紅実ちゃんは勝手な事ばかり言うんだから!」


すると紅実ちゃんは、私の方に振り向いて、人差し指を立てて話し出す。


「そんな事ばっか言って、色々と我慢しすぎちゃうと、ストレスが溜まりすぎちゃって、尚更体に良くないからね。悪いようには絶対しないから、香苗は黙ってついて来る!」

「……ふぁーい」


紅実ちゃんの説明には妙に説得力があって、私は大人しく返事をするしかなかった。
そのままラーメンバーガーの屋台の行列に並ぶ紅実ちゃんと一緒に、私も行列に並ぶ。





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