彼が虚勢をはる理由





ラーメンバーガーを買った後、すぐ横にあった休憩所で二人してラーメンバーガーを齧る。
ラーメンバーガーは東北の方のB級グルメだそうで、揚げたラーメンの麺でチャーシューやメンマを挟み、それにラーメンのスープをかけた物だった。私も今回の祭で初めて知った。
多少は汁物っぽい所もあるので、浴衣に汁がはねないように、注意して食べる。味もかなり美味しかった。


「さてと、行きますか」


ラーメンバーガーを食べ終わった紅実ちゃんが、やおら立ち上がる。
参道は既に端っこで、もう屋台は続いてなかったんだけど…。


「紅実ちゃん、もう屋台は出てなかったじゃん。何処に行くの?」

「香苗、何言ってるの。神社に来たんだからさ、御参りしないわけにはいかないでしょ」


……そうだった。紅実ちゃんは大学で、日本文化を専攻してるんだった。
日本で古来から続く宗教を具現化したと言っても良いような神社に、紅実ちゃんが参拝しない筈が無かった。


「それに、香苗だってさっき言ってたじゃん。この神社は、"縁結びに御利益がある"って。参拝したら、好きな人と上手くいくかもよ?」


紅実ちゃんはニコニコしながら私にそう言って、さっさと本殿へと進む。





.
< 67 / 145 >

この作品をシェア

pagetop