彼が虚勢をはる理由
どうやら入口に立っているのは他のクラスの子と話しているからで、今の夏野君への悪口は他のクラスの子から発せられたらしい。
「まぁまぁ、そんな事言わなくても。本当に聞こえないのかもしれないぜ? 元から耳鳴りが酷くて、一応確認してるとか」
「それは無いっしょ。だってアイツ、一回目はシカトしてくるけど、二回目はほぼ必ず返事してるぞ。本当は聞こえてんだろ」
「勝手な事言わないでよ!!」
気付いたら私は、夏野君の悪口を言う人達に向かって叫んでいた。
悪口を言っていた二人はもちろん、他のクラスメート達も、驚いて私を見ている。その中で、心配そうに私を見るハルと舞子と目が合った。
……しまった、ついウッカリ叫んじゃったよ。恥ずかしいやつじゃん。
でも一回叫んじゃったし、もう止まれない。
「私には分かんないけど、夏野君が一回目に声かけた時点で反応しないのは、何かの理由があるかもしれないじゃん! 夏野君が毎日遅刻してくるのも、人と殴って喧嘩するのも、本当は理由があったでしょ。夏野君を全部知ってるわけでもないのに、勝手な事をほざかないでよ!」
「何だよ、ムキになって。星崎は夏野の彼女なのか?」
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