彼が虚勢をはる理由
……う。私が苦手な方向に話をふられた。
コレ、私は夏野君の彼女じゃないんだから否定すべきなんだけど、何だか否定したくないし…。
「何も言わなくて良いよ、星崎。コイツらなんか、どうせ上辺だけなんだろ」
その言葉に私が振り向くと、夏野君が涼しい顔で、でも少しだけ眉が吊り上った状態で、私と言い争う二人を見ていた。
今更ながら、私の顔が凄く熱く事になってる事に気付く。きっと真っ赤だろうな。
「コイツらに見えてるのは、どうせ俺の上辺だけだ。そんな上辺だけの付き合いに、気なんて使う必要なんて無いっての。むしろ、よく気ぃ使ってられるな。コイツらみたく、裏で何言ってるか分かんないのに」
悪口を言われてる張本人にサラッと言われて、私も、悪く言う人達も、黙るしかなかった。私は大人しく、自分の席に座る。
そのまま顔を何とか隠したくて、私は机に突っ伏した。
「香苗、大丈夫? あんなヤツら、気にする事無いよ」
「そうだよ、香苗。夏野君を庇う香苗、格好良かったよ」
その声に気付いて顔を上げると、ハルと舞子が私の席の横に立っていた。
どうやら私を心配して、励ます為に来てくれたらしい。
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