ケータイ小説『ハルシオンのいらない日常』 著:ヨウ
「私、伊織さんは女の子なんだと思って たよ……」
「そうだよな。ごめん。ヨウは勘違いし てると思った。わざとそうさせてたん だ、俺は」
「何で?言ってくれたら……」
そうと知ってたら、こんなに深く嫉妬は しなかったかもしれない。
「伊織が男でも女でも、そんなのは俺と ヨウの関係に影響ないって信じていた かったんだ。今思えば、ホントそれは俺 のワガママだったんだけど……。
ごめんな。俺は、自分が思ってる以上に ヨウのこと苦しめてたんだって、今、改 めて気付いた」
「……もう、いいよ……」
そう言うしかなかった。私以上に苦労し てきた伊織さんを前に、私ごとき小さい 人間が口にできる言葉なんてないか ら……。