ケータイ小説『ハルシオンのいらない日常』 著:ヨウ
「就職してすぐの頃、アロマテラピー検 定に合格したんだ。いつか、自分でサロ ンを開いてアロマテラピーで人を和ませ る。それがずっと、俺の夢だった」
「……初めてそういうこと話してくれた ね」
「うん」
照れくさそうに、海君が笑う。
仕事を掛け持ちしてまで貯金をしてたの も、いつか自分のサロンを開くためだっ たんだ。
素敵な夢だと思う。でも、それと私のこ と、何が関係あるんだろう?
「ヨウは覚えてないかもしれないけど、 ヨウって中学の頃から“よく眠れな い”とか“疲れた”って言ってたんだ よ」
「ウソ!そうだっけ?」
「やっぱり、忘れてる」
クククと、海君は笑った。
全然覚えてない。だって、海君とは楽し く過ごした記憶しかない。なのに、実は そんなにグチばかり言っていたなんて。 ちょっと恥ずかしい。