ケータイ小説『ハルシオンのいらない日常』 著:ヨウ
「あ、ミチ?悪いんだけど、今日の夜、 店まで迎えに来てくれない?
最近よく、変な人に声かけられるから、 一人で帰るの怖いんだよ」
申し訳ない気持ちで頼み事をする私に、 電話の相手――彼氏のミチは、めんどく さそうにこう言った。
『はあ? 声かけられる?マジで?それ、 勘違いじゃねー?
変質者だって、相手選ぶって!誰も、お 前のことなんか見てねぇよ』
語尾にさげすみの成分を含め、ミチは一 方的に電話を切ってしまった。
いま、私が電話をかけたのは、“一 応”付き合ってる男のコのはずなんだけ ど。
ミチは私に冷たい。
ミチとは、バイト先の写真屋で出会っ た。付き合ってもう半年くらいになる。