ケータイ小説『ハルシオンのいらない日常』 著:ヨウ
こんなことになるなら、食生活を正直に 語るんじゃなかった。
とはいえ、毎日高級料理を食べてるなん てウソも思い浮かばなかった。
それに、我慢してるだけで、本当は私 だっておやつを食べたり、肉や野菜をお 腹いっぱい食べたい。
給食だっておかわりしたいけど、なんか 恥ずかしいから我慢してるだけ……。
ウチのアパートに着くと、海君は緊張気 味に「お邪魔します」と言い、かしこ まった足取りで玄関に上がった。
「そんなに緊張することないって! キッチンこっち!」
私もすごく緊張してたのに、冗談ぽく海 君を促すことで、胸のドキドキをごまか していた。
ガランとしていて見慣れた家の中も、海 君がいるというだけで、別の部屋みたい に思える。
公園でもなく、学校でもない。
今目の前に居る海君は、私との時間を過 ごすために、ここに居てくれる……。
友達でもいい。嬉しかった。
海君が緊張し、遠慮がちにキッチンに入 る姿を見て、私は、永遠のような幸せを 感じていた。