ケータイ小説『ハルシオンのいらない日常』 著:ヨウ

険しい目つき。値踏みするようなまなざ し。話したくないけど嫌々話す、みたい な感じ。

海君の担任は、威圧感たっぷりだった。

教師としていかがなものかと冷めた気持 ちになりつつ、不快感をこらえ、私は相 手に向き合った。

「はい。何ですか?」

「雨宮さんと言ったかな?あのね、海瀬 と仲良くするのはやめてもらえないか?

あいつは、君と関わるようになってか ら、上り調子だった成績が下がりはじめ てる」

そうだったの…?

先生の発言が衝撃的で、私は何と返した らいいか分からなかった。

しばらくして、疑問符が湧いた。

どうして先生は、海君と私の交流を知っ てるんだろう。学校ではあまり話さない ようにしてるのに。

私はやっと言葉を返した。

「仲良くないですよ。海瀬君の塾がたま たま私の家の近所だったので、前に偶然 会ってちょっと話してただけです。今は ほとんど顔も合わせないんで……」

全部ウソ。本当のことを言ったら負け る。そんな気がした。

「その、『塾』なんだがなぁ」

海君の担任は言った。

「海瀬な、夏休みからずっと、塾を休ん でるらしいんだ。親御さんからさっき連 絡があってなぁ……。

でもって、放課後、海瀬が君と一緒に居 るところを見かけたと言う先生もいる。 それも、一度や二度じゃない」

私のウソは、見破られていた…!

先生は、ここぞとばかりに私を責めた。

「雨宮さん。海瀬が塾をサボっているこ とに、君は無関係ではないだろう?」
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