ケータイ小説『ハルシオンのいらない日常』 著:ヨウ
パソコンにメールが届く音がした。
「誰?」
私にメールしてくる人に、心当たりがな い。
ベッドに預けていた重たい体をダルい気 分で起こし、パソコンを見た。こんな時 だからこそ、誰かとつながりたいのか も。なんて思いながら。
最近更新をサボっていた小説サイトのア ドレスからのメールだった。
久しぶりの私書箱メール。
《初めまして。ヨウさんの作品全て読み ました。しばらく更新されてませんが、 今はスランプ中でしょうか?
一生懸命書いた作品なら、どんなもので も誇っていいと思います。
次回作も、期待しています。
ヨウさんのファン1号より》
私書箱メールの差出人の名は、『ファン 1号』とだけ書かれている。
今まで、こんなメールをもらったこと あった?
「ファン1号って……」
私の作品を全部読んでくれた人?にして は、『初めまして』と書かれている。
頭痛がひどく、気分もイライラしていた せいか、このメールの内容を、最初は素 直に受け取れなかった。私を嫌っている サイト内の誰かが、皮肉ってきてるんだ とすら思う。