ケータイ小説『ハルシオンのいらない日常』 著:ヨウ

私も今まで何作か人の小説を読んだけ ど、作者に対しこんな熱心なメールを出 したことなんてなかった。夢中になって 読んだ本の著者相手にしても、ファンを 名乗るメールを送ろうという気にはなれ なくて。

なのに、この人は……。

ファン1号は、こんな不摂生の化身みた いな私が書いたものをわざわざチェック してメールまでよこしてきた。そんな手 間、普通はあまりかけないよね?

この日私は、『ファン1号』に初めて返 信をした。

《作品を読んでくれてありがとうござい ました。今回の新作はたまたま出来たも のです。これからも小説を書けるのかど うかは分かりません。

でも、メール嬉しかったです。ありがと うございました。》

ファン1号から、すぐに返信がきた。

《今から会いに行ってもいいですか?》

《サイトの人と直接会うつもりはないで す、すみません。》

久しぶりに熱心に関心を持たれて嬉し かったのに、結局出会い目的だったの か。そーゆうサイトじゃないっつの。

次の瞬間、コンセントを抜くことでパソ コンの電源を落とした。イラッとして、 つい。ううん、ガッカリ感の方が大きい か……。
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