ケータイ小説『ハルシオンのいらない日常』 著:ヨウ
ファン1号との接続を物理的に断ち切っ た直後、今まであった嫌なことを一気に 思い出した。
「世の中、アホが多すぎる。うぜー」
つぶやき、ガンガン痛む頭を両手で押さ えつけたままベッドに倒れた。
家の中にインターホンの音が響いたの は、それから10分後のことだった。
「お母さん?」
仕事から早く帰ってきたらしい。
珍しく足音を立て私の部屋に入ると、お 母さんは苛立った口調で言った。
「バイトは?休んだの?大学は?行って ないの?」
ひっきりなしに責めてくる。
「ちょ、いきなり何?」
意味が分からない。また、義父(アイ ツ)とケンカしたんだろうか?
「別に、何でもないわよ。それより、あ んまり家にいるとお父さんの機嫌が悪く なるから、気を付けなさいよ?
まあ、あとちょっとの辛抱(しんぼう) だけどね、あんたにとっては」
「え?どういうこと?」
「ああ、言いそびれてたんだけど、来月 からアンタ、一人暮らししてくれる?家 賃はお父さんが出してくれるし、アンタ もここにいるのは嫌でしょ?」
そんなの、聞かれるまでもなく嫌に決 まってるけど、どうしてそんな話になっ てんの?