ケータイ小説『ハルシオンのいらない日常』 著:ヨウ
「空はいつでも、ヨウを見てる。それ が、俺、空部部員の気持ちだ!」
中学時代、海君がくれた言葉だ。
二人で空を見上げて、日々の気持ちを語 り合う部活。略して空部。
めちゃくちゃなネーミングだし、テーマ もクサいと思ったけど、海君と作った空 部は、何よりも楽しかった。
「あの頃に戻りたいよ……!」
過去になんて戻りたくないけど、海君と いたあの頃になら戻りたい。
弱い自分を感じて、昔の海君に謝りたく なった。
「海君……!傷つけてごめんなさ い……」
家から駆けてたどり着いたのは、昔、海 君と過ごした公園だった。ここから徒歩 一分くらいの所に、お母さんと二人暮ら ししてたアパートもある。
「あの頃はあの頃でつらかったけど、今 よりはマシだったかも……」
海君と夜遅くまで制服で語り合った公園 のベンチに座り、空を見上げた。
「もう、同じ道は歩けないかな?」
海君に会いたい。
家のこととか、失恋のこと、自分自身の 悩みで弱っているせい、だけじゃない。
恋をしていた。
私は海君のことが、大嫌いで大好きだっ た。