恋愛学園



「ここ、人いないみたいだから少し歩こうか」



そう言って窓際を速度を落としてゆっくりと歩くとポケットが何故か、振動していた。



なんで……?
憂と手を繋いでいない方の手をポケットに突っ込むと振動してる物がわかった。




それを掴んでポケットから出すと



"着信 杜川 青"



と表示されていた。
青だ。



通話ボタンをスライドさせてスマホに耳に当てるとすごく慌てた声が聞こえてくる。




『芹那ちゃん!?大丈夫?今、どこ?なんで、勝手に動いたの?憂は?』




「……青、落ち着いてよ」




出た瞬間、青の質問の嵐で何言ってんのかさっぱりわかんなかった。
連絡したのに、なんであんな心配してんだろう?




『落ち着けるわけないし。あんな短文で納得しろって言う方が無茶だよ。しかも、何回電話しても出ないし。隣で桃也だって、落ち着けてないから今どこにいるの?』





あれだけじゃわかんなかったんだ。
青なら分かるかもとか思ったんだけどな。
佐藤くんは、早く安心させないと私が殺されそう……。




「芹那ちゃん、どうしたの?」




「ん?なんか、メールだけじゃ現状がわかんないって青に怒られてる?」




「なんて打ったの……?」




「少し、動く。かな?」




私の返答を聞いて憂はすごく曖昧な顔で笑っていた。



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