恋愛学園
『芹那ちゃん?』
辺りを見回してみても、ガラスで透けてる廊下ということしかなくて何て言えばいいのかわかんなかった。
しかも、此処初めて来たな。
まぁ、当たり前か。てか……この学園ってホントに変な造りだな。
ガラスで透かせた意味がわからない。
外に目を向けると少し長めの階段が見えた。
「…………っ!?」
「せ……芹那ちゃん……あそこにいるのって……」
階段が見えただけなら……良かったけど、階段の上に良く見た事のある黒髪ストレートロングの髪の人影が見えてしまった。
『……芹那ちゃん……?どうした?芹那ちゃん?』
耳に当ててるものから聞こえてくる青の声なんかもう私の耳には届いてこなかった。
――カシャンッ……。
耳に当てていたものの存在を忘れていつの間にかそれは私の手の中には無かった。
「……柊花だよ……あれ」
「芹那ちゃん……あれ、危ないよっ!!」
何かから逃げるように一歩一歩確実に後ろに足を踏み込む柊花。
後ろは階段だということに気付いていないのか、あと数歩下がったら……確実に柊花は階段から真下に落下してしまう。
「……憂、そこに隠れてて……」
「……え……芹那ちゃんは……?」
「私は、柊花助けに行く」
そう言って、憂を隠してガラスの外から目を逸らすこと無く柊花の姿を確認して全速力で階段に向かう。
私が向かってる間も柊花は一歩一歩確実に下がっていて。
お願い……間に合って……!!
階段の近くには柊花を狙って集まってきたであろう男達がいっぱいいた。
こいつらだ、柊花をあそこまで追い詰めたのは。
「Sクラスの城崎 芹那だ!!」
私に気づいた男が大きな声で叫ぶと全員がこちらを向くけど、それどころではなかった。
「……うるさい!!いますぐ、そこを退けっ!!」
こいつら、柊花が落ちそうだってのに……ゴミ以下な奴らめ。
出した声は自分でも驚くぐらい低くかった。
睨むと目の前を塞いでいた男子が退いて柊花の姿が見えた。