恋愛学園
エレベーターから降りて教室の前に着くとさっきよりも憂がすごく張り付いてきた。
歩きづらい……でも、可愛い……。
「……憂、教室はい……うわっ!?さ、佐藤くん……?」
扉に手を掛けて開けようとしたら手を掛ける前に扉が開いてそこから出て来たのは今、憂が一番会いたくないであろう佐藤くんだった……。
「……あっ、城崎さん……おはよう。憂……」
私を見ていつもより余裕のない顔をして笑うとすぐにその視線は、私の斜め下にいる憂に向く。
心なしかすごく眉が垂れてるように見えるよ……佐藤くん。
いつもならすぐに佐藤くんの後ろに行く憂だけど私の背中に張り付いたまま離れなかった。
それに気付いてすごく悲しそうな顔をする佐藤くん。
「……憂?あれは……誤解だって俺言ったよね?それにいきなりいなくなって俺心配したんだぞ?」
私が見えていないかのように私をスルーして佐藤くんは憂に手を伸ばすけど、憂がその手を避ける。
「……憂……」
泣いているんじゃないかってぐらいの顔をする佐藤くん。
こんな顔初めて見た……てか、憂がよけること自体初めて見たよ……。
「……今は、ももちゃんの顔……見たくない」
「…………え?」
そんな佐藤くんに追い討ちでもかけるかのように聞こえてくる憂の声。
うわ……ここにいたくない、どうしよ……。でも、憂にがっちりホールドされてて動けないし。
「芹那ちゃん!!」
後ろから道を塞ぐように走って現れる青。声はすごく怒っているような感じで……。
空気読めよ……青っ!!
「憂、誤解なんだって」
「芹那ちゃん、誤解だよ」
必死な顔をしている二人の声がハモってクラス中の視線がわたし達に集まる。
それは、喧嘩?というような好奇の目や女子や男子それぞれのいろんな思いを込めた期待の目だった。
こいつら……うるさい。
佐藤くんはともかく、青は全然意味がわかんない。