恋愛学園
「……危なかったな」
「……」
「芹那?」
ん?いま……何が起こったの?
桃也に腕を引っ張られてそのあと後ろから人を蹴る音と変な声聞こえてきて……"危なかったな"?
「誰だ、この黒服……」
「え、いま人蹴った?」
「え、うん?芹那に手伸びてくんの見えたからね。正当防衛だよ」
後ろに目を向けると大きな男の人が伸びていた。
そして、桃也に目を向けると桃也は笑っていた。
この人、笑顔で……。
「やっぱり、急所くらいは分かっておかないと女の子守れないよね。教わっといて良かったよ」
誰に教わったんだろ……。
「これであと付けてたやつはわかったし先急ごうか。まだ何か仕掛けてある気がするし」
「うん……」
なんなの、この肝試し……危なすぎる!
私の知ってる肝試しなんかじゃないよ……。
「てか、桃也何者……」
「ん、俺?普通の男子高校生?」
普通の男子高校生に見えな……ん?
――ゴロゴロゴロゴロ――
「うわー、典型的?」
「な、なんなのよこの学園の肝試しはあああああ!!」
「とりあえず、走るよ!」
変な音がして後ろを振り返ると私たちの身長は軽く超えてる土玉みたいなものが後ろからすごい勢いで転がってきてるし!
ありえないから!
「……まさか、あんなもの用意するなてな……」
「のんきなこと言ってないで早く走ってえええええ!!」
「どこまで体力持つか楽しみだね?」
「ねぇ、これって青と憂も!?」
「まずいな……青生きてるかな?」
「……え?」
「わかってるだろうけど、憂あのとおり怖がりだし運動神経は良くからね。ずっと抱っこしてないと憂は守れない」
「…… 」
「ま、青なら大丈夫だろ。それより俺たちの心配しよ!」
後ろから変わらずゴロゴロゴロゴロと大きな転がる音を立てて転がっている玉の前を青と憂の心配をしながら走る。
この玉、いつまで転がってくんのよ……。