恋愛学園
「……ちゃん……芹那ちゃん!」
「…………んっ……」
お母さんの声が耳に届くけど、まだ眠い……。
それに、なんで絶対早いでしょ……時間。
「ほら、今日は転校初日なんだから早く起きてよ~!」
ん?転校……?
何言ってんだか、お母さんは……。
「…………あっ……」
転校という単語を聞いて私の眠気はどっかに飛んでいったらしくさっきまで重くて持ち上げることが出来なかった瞼がすんなりと上がってくれた。
「おはよう、芹那ちゃん」
視界には朝っぱらから満面の笑みを浮かべるお母さんの顔が広がっていた。
「……おはよ……」
「早く着替えて降りてきてね!ご飯作ってあるから」
「……ん」
言いたい事を全て言い切ったのかお母さんはそのまま回れ右をしてドアの方にスキップなような足取りで行って部屋から出ていった。
なんで、あんなにテンション高いのかな?
まぁ、いっか。
「……ん~~~~!っはぁ……」
ベッドから起き上がって大きく伸びをする。
さてと、着替えますか。
ベッドから立ち上がって着ていたスウェットを脱いで昨日着た主にピンク色の制服を着る。
「……やっぱ、似合わないな~」
鏡の前に一度立って自分の姿を見てからそのままドアの方に行き部屋から出てキッチンに行く。
「あぁ、おはよう。芹那」
お父さんは食卓に座りコーヒーを飲みながら新聞を読んでいたけど私に気付いて新聞から目を離して私を見た。
「はよ、お父さん」
「……"おはよう"でしょ、芹那ちゃん」
台所から牛乳の入ったコップとこんがりと狐色をしている食パンときれいな黄色のスクランブルエッグが入ってるお皿をお盆に載せて運んできて食卓に置く。
そして、お決まりのように毎日私にその言葉を言う。
私が直さないから言われてるのは分かってるんだけどね、直す気にはなれなかった。
「……そうだったね。いただきまーす」
食卓にまで行ってお父さんの前にいつものように腰を下ろすとお皿を並べ終わったお母さんがお父さんの隣に座る。
「座ってから言うものよ、それ。ほら、パパ新聞置いて!ご飯食べましょ」