嘘つき、でも騙されてあげる
帰りの新幹線の中で私は窓から流れる景色ばかりを見ていた。



静岡と東京なんて遠くない。



新幹線で二時間かからないんだよ。



なのに何でこんなに遠く感じるんだろう。



ディズニーランドでも目の前に卓斗がいるのに、



やっぱり遠く感じた。



綾女さんがいたからじゃないよ。



私の体が卓斗に近づけなかった。



私は現実から逃げている。


卓斗の口から、【夢花の事はもう好きじゃないって。】



言われるのが怖い。



真実を知る事が怖いから、騙されてるって思う方が楽なんだ。





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