嘘つき、でも騙されてあげる
最初に入って来たのは卓斗だった。



私以外の三人が卓斗を見た。



青山さんがキャー本物だと騒いでいる。



私は膝の上に置いた手を強く握った。



卓斗の視線を感じる。



でも怖くて顔を上げられない。



司が私の手をそっと握った。



司が耳元で、「大丈夫俺がいるから。」



私はゆっくり顔を上げた。


そこにはオーラを放った卓斗がいた。



眩しくてまともに顔が見れない。



違う世界の卓斗がいた。



「ここに座っていいかな?」


私の正面に彼は座った。



そして、「夢花元気そうだね。」と笑った。



私は卓斗を見つめたまま答えられない。




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