嘘つき、でも騙されてあげる
私は断れないって事?



でも私素人だし、台詞とか覚えて演技をするんだよね。



幼稚園のお遊戯会ぐらいしか経験ないし、



どう考えても無理だろう?


でもノー言えないなんて、私どうすればいいの?



静まりかえる空気の中。



「あのぅ。私どうすればいいのでしょうか?


断れないんでしょ?


でも台詞とか演技とかどう考えてみても無理だし。」


監督はこの映画の台本を取りだし、「今から卓斗相手46ページのセリフ言ってみて。」



私はそのページを見て固まった。



別れのシーンでそれはまるで、私と卓斗そのものだったから。



好きなのに別れなくてはならない。



私は監督に言われるままに、卓斗と向き合う。



「何で好きなのに別れなくてはいけないの。


私はどんな遠くに離れてもあなただけを愛しつづけます。


たとえあなたが私を嫌いになっても、


私の思いは変わらない。


だからさよならは言わない。」



私の目から涙が自然と溢れた。




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