CHERRY





視線の先には、窓際で友達とふざけ合ってる木野がいて、木野の存在を捉えた途端に胸が変になった。


今の時期は雨が多いけれど、今日は珍しく晴れており、太陽が差し込んでいるからなのか木野がなんだかキラキラして見えた。


時折、窓からふわっと風が吹いて、木野の艶やかな黒髪を揺らす。


まるで1つの絵画を見ているかのよう。
私の視線は木野に釘付けになっていた。



───好き、好き、好き。


特別なことは何もなくても、木野がいるってだけで幸せな気持ちになる。


そんな風に1人、心地よさに浸っていると、



「あれー?二谷さん、なに見ているの?」


と、中性的な声が背後から聞こえた。



ハッと木野から視線を外して振り返ると、そこには穂乃花の想い人、有澤くんこと有澤英知くんがいて、私と視線が合うと悪戯っぽく笑った。


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