CHERRY





でっ、でも何か言わないと余計怪しまれるよね


私は働きの鈍った頭で打開策を考えながら、口を開こうとしたその時……、



「あかねは、木野の目の下の隈見てたんでしょ?徹夜でゲームでもしてたのかしらねー」



と、天乃が何食わぬ顔をして私に言った。
もしかして、フォローしてくれてるのかな。


ありがたいけど、……ちょっと苦しいかも。


そう思いながら、さっきよりも空気が良くなったのを感じて少し落ち着きを取り戻した。



「そうそう、夜更かししたような顔してるから、ちょっと気になっただけだよ」



言い訳っぽく聞こえるかもしれないけど、こうなったら仕方ない、なんとかこの場を乗り切らなきゃ。


そう考えて私は、なるべく動揺を見せないように振る舞うことにした。



「………。」



やばい、これ絶対怪しまれてるよ。
有澤くんの無言に得体の知れぬ圧力を感じる。




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