CHERRY
有澤くんは、どちらかというと、可愛い系の男子で、優しげな笑顔に親しみ安い印象を受けていた為か、余計に怖さを感じてしまう。
……やっぱり、男子は苦手だ。
そう思っていると、
「あ、そうだ。英知くん、数学のノート机に置いてあったから勝手に借りちゃった。ごめんね~」
と、悪びれなさげに言いのける穂乃花。
ていうか、唐突に話が変わったよね……、
そう感じて、穂乃花を見ると私をチラッと見て笑い、また有澤くんに視線を戻した。
あ……、変わったんじゃなくて、穂乃花が変えてくれたんだ。
「ええ、またー?ていうか、そろそろ自分で宿題やった方がいいよ。」
「ごめんごめん、でも取りやすい位置にあったからさ~、それに私、英知くんより頭良いから♪大丈夫!」
「……浅野さんっていい性格してるよね、そんなこと言うならもう見せてあげない!」
「……あー、それは困る!ごめんなさい~!」
有澤くんと穂乃花の、そんなやり取りが繰り広げられている。
……穂乃花、うん、頑張りは分かるよ。
そう呆れながらも、穂乃花の楽しそうな顔を見れてどこか嬉しい自分もいる。