CHERRY





「あー、なるほどねー!二谷さん、木野と良く話してるから男苦手だって分かんなかったや。浅野さん、教えてくれてありがと♪」



その笑みから先程の意地悪さは微塵も感じられず、さっきの有澤くんは幻でも見てたんじゃないかと錯覚しそうになる。



……、穂乃花は気づいてないのかな。



そう思ったけど、当の本人はニコニコ笑顔を有澤くんに向けている。


ああ、絶対気がついていない……。



けど、有澤くんは穂乃花の好きな人だもんね、極力余計なことは言わないようにしよう。


そう決意した私は、2人の様子を見守ることにしたのだが、有澤くんがおもむろにこちらを向いて眉を下げた表情をするのでびっくりして思わず背筋が伸びてしまった。



「二谷さん、ボクなんだか色々勘違いしてたみたい……ごめんね?」


そう申し訳無さそうに謝る有澤くんは、捨てられた子犬みたいな目をするものだから、なんだか私が悪いことをしている気分になってきた。



今の有澤くんはほんとに無害そう。



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