CHERRY






驚いて有澤くんを凝視すると、そこにはまるで別段何も無かったかのような天使スマイルがあって、私は何が本当で何が嘘なのか分からなくなりそうだった。



私が混乱していると、有澤くんは私たち3人を見渡して、


「あっ、割り込んじゃってごめんね。じゃあ、またね!」



と言い放ち、柔らかい雰囲気を残したまま友達のところへ戻っていった。



「あー、ほんと素敵だなあ。」



穂乃花は、余韻に浸るように机に顔を突っ伏している。

有澤くんと接触できて嬉しいのかご満悦のようだ。


私は、木野のことを好きな件を誤魔化してくれた2人に感謝の言葉を伝えると天乃と穂乃花は当然!と笑ってくれた。



「それにしても穂乃花、積極的ね?」


天乃がニヤッと笑いながら穂乃花に言う。


「だって…私、こうでもしないと英知くんの眼中に入れないから。だから、頑張るしかないんだよね。」


そう言って、少し切なそうに笑う。



なんて健気なの穂乃花。

なんだか、有澤くんにちょっとジェラシー。





でも、さっきの有澤くんへの違和感は、何だったのだろう……?

気になったけれど、そこまで有澤くんに関心がなかった私は昼休みが終わり、授業が始まる頃にはすっかりそのことは頭から抜けてしまっていた。



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