Angelic Heart 【教師×生徒の恋バナ第二弾】
憶測 【蒼目線】
アンジェが出て行った後、扉の前で坂下先生が肩を落とした。



とても、声をかけられるような雰囲気ではなかった。



先に口を開いたのは、坂下先生の方だった。



「蒼先生、私はどこで間違えてしまったのでしょうか?」



坂下先生は間違っていないと、僕は思う。



既婚者である坂下先生が、アンジェを受け入れるわけにはいかないのだから。



「彼女を泣かせたくはないのですが、結局は泣かせてしまいます。」



「仕方ないんじゃないですか?

そのうち、新しい恋でも見つけますよ。」



「そう願いたいものです。」



今日の面談は、アンジェで最後だ。



僕は資料をまとめ、左手で抱えた。



「さ、行きましょっか。」



僕は、ワザと少しくだけた口調で坂下先生の肩をポンと叩いた。



坂下先生は力なく微笑むと、僕と一緒に教室を出た。



窓の外では、相変わらず雨が降り続いていた。



「今頃、1人で泣いているのでしょうね…。」



坂下先生が、外を見て呟いた。



おそらく、アンジェのことだろう。



もしかしたら、坂下先生は彼女のことを…?



なんとなく、そう思った。










< 101 / 243 >

この作品をシェア

pagetop